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アネモメトリ -風の手帖-

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#196

日本各所の桜の旅へ。郷さくら美術館
― 東京都目黒区

中目黒駅近辺には目黒川が流れており、その川沿いの桜並木は、東京の中でも有名なお花見スポットになっています。しかし、コロナウイルスの蔓延により近年ではお花見も制限され、かつてほどの賑わいはありません。それでも昨2021年は、桜をひと目楽しもうと、散歩がてらふらっと足を止めている人が見受けられたり、私自身も、仕事帰りに見た夜桜は本当に美しかったのを覚えています。

昨2021年の夜桜の様子

2021年の夜桜の様子

先日、目黒川付近をふらっと散歩していたら、黒のタイルが整然と並ぶシックな建物を見つけました。あまりに美しかったので、「一体何のお店なのだろう?」と近づいて見てみると、可愛らしい桜の模様がモチーフとなって並べられていることに気が付き、一層心を奪われたので、訪れてみることにしました。
ここは、中目黒駅から徒歩5分程の場所にある「郷(さと)さくら美術館」でした。

郷さくら美術館外観

郷さくら美術館外観

郷さくら美術館は、現代日本画の専門美術館として、2006年10月に福島県郡山市に、2012年3月に東京の中目黒に東京館をオープンしました。展覧会ごとにテーマを設定した「コレクション展」という形式で収蔵作品を一般公開しており、コレクションは、昭和生まれの日本画家の作品を中心に収集されています(1)。
1階の「桜百景」という展示室では、全国各地、名所の桜の日本画を見ることができます。豪華絢爛な桜が本当に見事で、まるで絵画の中にいるような気持ちになりました。
2、3階では、「第9回 郷さくら美術館 桜花賞展」が開催されており、今後の活躍が期待されている若手の日本画家の、「桜」をテーマにした作品が展示されていました。
美しく力強い桜もあれば、寂しげで儚げな桜もあり、多種多様な桜の表現を見ることで、桜の奥深さを痛感しました。
沢山の桜を見終わった後は、旅を終えた後の高揚感と満足感に包まれていました。
自粛生活続きで中々遠出が出来ていませんでしたが、この郷さくら美術館に救われたような気がします。
美術館を出たら、いつもの目黒川の景色が飛び込んできて、「ああ、今年の桜も、そろそろかな」と心を踊らせて旅路を後にしました。

参考
(1)
郷さくら美術館について 郷さくら美術館
https://www.satosakura.jp/?page_id=21

東京中目黒「郷さくら美術館」は1年中桜が楽しめる穴場アートスポット! | 和樂web 日本文化の入り口マガジン
https://intojapanwaraku.com/art/42788/

(髙倉彩乃)