3)高知発、全国初のオーガニックマーケット2
安心の循環
商品については、かなり厳しいオーガニックのガイドラインが設けてある。基本的に国産の食材を使うことは前提(例外はあり)。その上で、野菜や果物に関してはすべて露地物で、ハウス栽培は不可。卵は平飼い養鶏、開放鶏舎のもの。砂糖は化学的に精製されていないもの(白砂糖でなくても、着色処理の有無も注意すること)など、こと細かに定められている。出店者は栽培履歴や原材料を軒先に掲示することが基本である。
ガイドラインだけ見ていると、少し窮屈にも感じてしまうほどだが、それだけでなく出店にも厳しい条件がいろいろとあった。
「出店希望者とは面接をしますし、1回(出店者として)入られてからも、厳しい目でチェックをしています。わたしたちではなく、外部のオブザーバーに委託して、やってもらっているんですよ」事務局をとりまとめる山田千夏さんが言う。「安心、安全なものを提供すると謳いながら、基準がゆるかったらお客さまが安心できないと思うんですよね。だからこそ、ガイドラインは厳しく設定しましたし、自分たちだけじゃない、外部の目も入れることにしたんです。だからこそ、ここにあるものならどれも大丈夫、という信頼を勝ち得たと思います」。
厳格な基準をクリアした、すこやかなものたち。ハードな出店条件をクリアした、真摯な出店者たち。だから買う側は安心して、好きなもの、気に入ったものを選ぶことができる。会場に流れるなごやかで温かな空気は、この安心があってこそ、生まれてくるのかもしれない。
もうひとつ、注目すべきは、加工食品の作り手たちにマーケット内で販売されている農産物、農産加工品の使用が薦められていることだ。実際、お弁当やお菓子をつくる方たちの多くは、ここで野菜を始め、次回使う食材を仕入れている。農家の方々も、ここでお弁当やお菓子を始め、加工食品などを買っていく。
つくるひとも買うひととなり、手から手へと食材や食べものが渡り、ぐるりとめぐってゆく。ゆるやかな、大きな循環が見えたような気がした。