アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#59
2018.04

場をつくる × クラウドファンディング

前編 京都・出町座
1)商店街につくった、映画×本×カフェの複合文化施設

出町座とは、2017年12月18日に京都の出町柳の桝形商店街に開館した映画と書店、カフェからなる複合文化施設である。薬局だったビルを改装し、1階フロアは壁一面の本棚を備えた書店とカフェスペース、地下1階と2階が50〜55席のシアタールーム、3階は講座などを開催できるフリースペースという、コンパクトながら多機能な施設になっている。通りに面したガラス張りの洒落た外観は、懐かしくも活気ある商店街に馴染んでおり、映画や本を目当てに足を踏み入れた観客と地元の買い物客が自然に混じり合う、独特の風景をつくりあげている。
出町座は、立ち上げ時にMotion Galleryのプラットフォームで資金調達を行い、300万円の目標金額に対し、724人が賛同。2ヵ月月弱の期間で941万3,645円という3倍以上の資金を集めた。資金調達としては大成功! なのだが、映画部門を担う田中誠一さんは、「クラウドファンディングはやりたくなかった。今でも僕はそう思っている。だけど、文化体験としての場所を想定したら、クラウドファンディングは最適な手段だった」と語る。
出町座にとって、クラウドファンディングとは何だったのか。何のための手段だったのか。第1回目は、田中さんと書店部門を担う宮迫憲彦さんにお話をうかがった。

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クラウドファンディングの出資者や近隣の方向けのプレオープンパーティーのようす。桝形商店街の角地にあった薬局を改装。地下1階、2階は上映スペースと教室、1階は書店「CAVA BOOKS」とカフェ「出町座のソコ」となる。当日は多くのひとで賑わった

(左から)宮迫憲彦さん、田中誠一さん

(左から)宮迫憲彦さん、田中誠一さん