アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

最新記事 編集部から新しい情報をご紹介。

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

TOP >>  特集
このページをシェア Twitter facebook
#55
2017.12

まちと芸術祭

3 札幌国際芸術祭2017の公式ガイドブックを片手に(第3日目)
自転車が頂上を目指している。山の稜線に見えたのはこれだった。どれも、中古か、廃品のようである。「ガラクタ」というわけだ。モエレ沼公園は、ゴミによる沼の埋め立て地だった場所であり、大友良英によるサブタイトルの「源」になっている

自転車が頂上を目指している。山の稜線に見えたのはこれだった。どれも、中古か、廃品のようである。「ガラクタ」というわけだ。モエレ沼公園は、ゴミの埋め立て地だった場所であり、大友良英によるサブタイトルの「源」になっている

登りながら長く見ていると、「自転車置き場か」という思いもよぎる

登りながら長く見ていると、「自転車置き場か」という思いもよぎる

伊藤隆介は、ジオラマをつくりそれをCCDカメラでライブ撮影、プロジェクションするインスタレーションで知られる映像作家だが、こうして見ていると、自分の大きさを見失い、ジオラマのなかにいるような気にもなる

伊藤隆介は、ジオラマをつくりそれをCCDカメラでライブ撮影、プロジェクションするインスタレーションで知られる映像作家だが、こうして見ていると、自分の大きさを見失い、ジオラマのなかにいるような気にもなる

頂上の「ゴール」、その先頭にあったのは子ども用の自転車。これだけ、というアッケなさ。ご褒美はない。むしろハズレの気持ちが、訪れた各自の心に率直に立ち上るだろうが、それでいい。勝手にガイドブックを乗せる。石狩平野を望む

頂上の「ゴール」、その先頭にあったのは子ども用の自転車。これだけ、というアッケなさ。ご褒美はない。むしろハズレの気持ちが、訪れた各自の心に率直に立ち上るだろうが、それでいい。勝手にガイドブックを乗せる。石狩平野を臨む

自転車は、公園内のクレーターのような穴から「出発」していた。意味はないが、それでいい。ガラスのピラミッドを望む

自転車は、公園内のクレーターのような穴から「出発」していた。意味はないが、自転車には「向き」がある。前と後ろ、方向は「始まり」を感じさせる

自転車は、ぞろぞろと山へ向かう。この野外展示に込められているのは、自転車を大切にしようではもちろんない。盗難に注意しようでもない。メッセージはない。メッセージはないが、モエレ山に登るという経験はあった。何もないのではない。「ガラクタ」の自転車が並んでいるのを見てきれいだなと思った一瞬もまた現実である。ほんの一瞬だが、それでいい

自転車は、ぞろぞろと山へ向かう。この野外展示に込められているのは、自転車を大切にしようではもちろんない。盗難に注意しようでもない。メッセージはない。メッセージはないが、モエレ山に登るという経験はあった。何もないのではない。「ガラクタ」の自転車が並んでいるのを見てきれいだなと思った一瞬もまた現実である。ほんの一瞬だが、それでいい

北海道大学総合博物館の2階には、各学部の「最新の一押し研究」が常設されている。これはアイヌ・先住民研究センターの展示。「今回の展示では、「アイヌ」をモチーフとするお土産を紹介します。ここに展示されているモノの作り手は、アイヌ民族に限定されません。そのため、展示タイトルのアイヌという言葉には、カギ括弧「 」を付けました。「アイヌ」のお土産は、様々な視点から考えることができます」とある。木彫りの熊と再会

北海道大学総合博物館の2階には、各学部の「最新の一押し研究」が常設されている。これはアイヌ・先住民研究センターの展示。「今回の展示では、「アイヌ」をモチーフとするお土産を紹介します。ここに展示されているモノの作り手は、アイヌ民族に限定されません。そのため、展示タイトルのアイヌという言葉には、カギ括弧「 」を付けました。「アイヌ」のお土産は、様々な視点から考えることができます」とある。木彫りの熊と再会

ヒグマとも再会

ヒグマとも再会

有島武郎&木田金次郎とも再会。新聞記事には、木田は「道外では9割以上に認知されていなかった」とある。わたしも、この札幌国際芸術祭2017を見に来て初めて彼の絵を知った。木田は札幌国際芸術祭2017の参加アーティストではなかったが、次回ぜひ参加してほしい

有島武郎&木田金次郎とも再会。新聞記事には、木田は「道外では9割以上に認知されていなかった」とある。わたしも、この札幌国際芸術祭2017を見に来て初めて彼の絵を知った。木田は札幌国際芸術祭2017の参加アーティストではなかったが、次回ぜひ参加してほしい

(次回に続く)

札幌国際芸術祭2017
http://siaf.jp
取材・文:福永 信(ふくなが・しん)
1972年生まれ。小説家。『アクロバット前夜』(2001/新装版『アクロバット前夜90°』2009)、『あっぷあっぷ』(2004/村瀬恭子との共著)『コップとコッペパンとペン』(2007)、『星座から見た地球』(2010)、『一一一一一』(2011)、『こんにちは美術』(2012/編著)、『三姉妹とその友達』(2013)、『星座と文学』(2014)、『本とその周辺をめぐる、6か月とちょっとの旅』(2016/編集)、『小説の家』(2016/編集)、『カワイオカムラ ムード・ホール』(2017/編集)。2015年、第5回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
写真:高橋 宗正(たかはし・むねまさ)
1980年生まれ。写真家。『スカイフィッシュ』(2010)、『津波、写真、それから』(2014)、『石をつむ』(2015)、『Birds on the Heads / Bodies in the Dark』(2016)。2010年、AKAAKAにて個展「スカイフィッシュ」を開催。2002年、「キヤノン写真新世紀」優秀賞を写真ユニットSABAにて受賞。2008年、「littlemoreBCCKS第1回写真集公募展」リトルモア賞受賞。