3号にわたって、千年近く続くものづくりとその土壌を、どのように継承し、現代に生かしていくのか、愛知県常滑市(以下、常滑)で起こっていることを見ていく最終回。
キーパーソンは常滑に移住したデザイナー・高橋孝治さん。地道な仕事と関係性を積み重ねたものづくりやプロジェクトは、それこそ地に足のついた、簡単には揺らがないものばかりだ。そして、土のものづくりは、常滑の風土や人々の気風を映し出すものでもあると実感する。今回は、そのものづくりが営まれる、あるいはものを伝える場の展開を見ていきたい。
多くの人々が集える開放的な場もあれば、実験的な高橋さん自身の店もある。また、福祉施設につくられようとしている、土の記憶をつなぐスペースもある。いずれも、ゆるやかな関係性のたまものだ。高橋さんをはじめ、建築家や焼きものの作家など、地元の作り手たちと、それぞれのつながり。そして、福祉と焼きものなど、ジャンルを超えたコラボレーション。いずれも、常滑の土によって、導かれているようなところもある。土の歴史の現在と未来はどのように描けるのだろうか。