アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#103
2021.12

森づくりとともに 飛生芸術祭という夢を重ねる

2 「境界」を体感し、超えていくこと 北海道・白老町

前号では飛生芸術祭のレポートとともに、飛生の森を育み、また森で育まれてきた創作や表現、そこから生まれたコミュニティの協働について紹介した。
今号では、飛生芸術祭と地域のかかわりについて紹介したい。飛生芸術祭は、「黒い鳥の神話の創造」を森づくりのストーリーとして掲げ、物語をつくり込んできた。だが、そうした物語が、求心力となるほど説得力を持つのは、白老周辺の土地に眠る人々の記憶や、そこで育まれてきた物語があるからだろう。芸術祭メンバーはそこに着目するようになり、地域文化を生きたものとして継承しようとしてきた。その活動がいま、飛生という小さなエリアを超えた展開を見せはじめている。
飛生の森から、白老の海岸にまで広がり、深化を続ける、アートを介した地域文化の再発見、再創造の取り組みを見てみよう。

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飛生芸術祭と連携して虎杖浜の海岸沿いで企画された《歩いて巡る屋外写真展 虎杖浜・アヨロ》 / 50〜60年前に同地で撮影された写真を、その撮影されたシチュエーションに合う場所で展示している / 虎杖浜神社が建つ丘の上から街並みを見渡せる / 虎杖浜の海岸。かつては海岸部も漁師たちの営みで賑わっていた