前号では飛生芸術祭のレポートとともに、飛生の森を育み、また森で育まれてきた創作や表現、そこから生まれたコミュニティの協働について紹介した。
今号では、飛生芸術祭と地域のかかわりについて紹介したい。飛生芸術祭は、「黒い鳥の神話の創造」を森づくりのストーリーとして掲げ、物語をつくり込んできた。だが、そうした物語が、求心力となるほど説得力を持つのは、白老周辺の土地に眠る人々の記憶や、そこで育まれてきた物語があるからだろう。芸術祭メンバーはそこに着目するようになり、地域文化を生きたものとして継承しようとしてきた。その活動がいま、飛生という小さなエリアを超えた展開を見せはじめている。
飛生の森から、白老の海岸にまで広がり、深化を続ける、アートを介した地域文化の再発見、再創造の取り組みを見てみよう。
風信帖