アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#160
2026.09

移住と仕事のいま2026
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3 「疎」の余白を生かす 地域のこれから 奈良県東吉野村
2)「クリエイティブビレッジ構想」の10年

村の現在を生み出した起点は、やはり2014年にスタートした、クリエイティブな職種の人たちの移住を促進する「クリエイティブビレッジ構想」だ。その誕生に深くかかわった坂本さんは今、構想を次のように振り返る。

坂本:要は、仕事が選べるほどないので、自分で仕事を生み出せるタイプの人に来てもらおう、と。どういう人たちに来てほしいか、村として決めたのは重要なことやったと思います。行政はそこをあんまり決められず、逆に「来る人を拒まず」という方向にいきやすいですから。
構想の実行スピードが速く、実際にクリエイターが集まってきて、今クリエイターにとってすごくフレンドリーな村になっているのは間違いなくて。だからある程度成功したんだと思うんですよね。考え方として間違ってなかったし、他の市町村でもハマるところはあると思いますね。

クリエイティブビレッジ構想は、東吉野村だけでなく県内の複数の市町村で展開されたが、続けたのは東吉野村だけだった。今も東吉野村はこの構想を掲げ、地域おこし協力隊や、地域の実情に詳しい人が地域をサポートする集落支援員の枠で人を積極的に入れている。ちなみに、集落支援員を導入している自治体は、地域おこし協力隊に比べると少ない。
村のそうした取り組みがあるからこそ、移住したクリエイターたちは自分がやりたいクリエイティブ活動を続けられている側面もある。

坂本:本人が望めばそういう環境を与えられるって、すごいことやなと。10年後、20年後に大きな財産を村に残せる可能性があるかもわからないじゃないですか。村にしてみれば、ある種の投資みたいなもの。でも「地域おこし協力隊の任期終了後も村に住みたいなら、住んでもらったらいいやん」っていう雰囲気で、役場の人たちが人情深くて優しい人らなんですよ。

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オフィスキャンプ東吉野の一角。クリエイティブビレッジ構想を立ち上げた、福野博昭さんの著書も。福野さんは奈良県庁に在籍した時期、柔軟性と実行力をもって奈良の地域活性に取り組んだ