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アネモメトリ -風の手帖-

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読書案内*九鬼周造(1888‐1941)

九鬼周造は1888年2月15日に東京で生まれました。東京帝国大学文科大学哲学科を卒業し大学院に進学しますが退学、その後、ドイツやフランスに留学します。留学中はアンリ・ベルクソンやマルティン・ハイデガーに学び、帰国後は京都帝国大学文学部哲学科教授として西洋の近世哲学、近代哲学を教えました。とくに、日本におけるハイデガー受容では大きな役割を果たしています。いっぽうで、「いき」や「風流」など日本的な美意識に着目し、西洋哲学の方法でそれらを考察しました。その代表的な著作が『「いき」の構造』(1930年)です。また、詩の押韻や駄洒落など言葉遊びにも関心をもち、「偶然の産んだ駄洒落」のなかで「クキがクッキーでグキットした」と「アマノがアマゴとアナゴを間違えた」という駄洒落の違いを論じるなど、少しおちゃめな側面も垣間見えます。

九鬼周造の作品は青空文庫でも公開されていますが、文庫本になっているものもいくつかあります。『「いき」の構造』が文庫本だけで四種類もあるのはさすがです。
○『「いき」の構造 他二篇』岩波文庫、多田道太郎解説、1979年。
○『「いき」の構造』講談社学術文庫、藤田正勝注釈、2003年。
○『九鬼周造「いきの構造」 ビギナーズ 日本の思想』角川ソフィア文庫、大久保喬樹編、解説、2011年。
○『対訳 「いき」の構造』講談社インターナショナル、奈良博訳、注釈、2008年(英訳との対訳本)。
○『偶然性の問題』岩波文庫、2012年(初版1935年)。

-青空文庫、作家別作品リスト、No. 65、九鬼周造
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person65.html

九鬼周造研究の文献については、京都大学文学部のウェブサイトが紹介記事を公開しています。ぜひ参考にしてみてください。
-思想家紹介 九鬼周造(京都大学大学院文学研究科・文学部ウェブサイト内)
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/japanese_philosophy/jp-kuki_guidance/