アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

最新記事 編集部から新しい情報をご紹介。

風信帖 各地の出来事から出版レビュー

TOP >>  風信帖
このページをシェア Twitter facebook
#1

混沌とした魅力を放つまち — 横浜市「黄金町」
― 神奈川県横浜市中区

神奈川県横浜市にある「黄金町」と呼ばれるエリアをご存じですか。
京浜急行線日ノ出町駅から黄金町駅までの高架下にあるこのエリアは、かつて約250件 の売買春等を行う違法な特殊飲食店が連なり、生活環境の悪化が深刻な問題となっていました。2005年の警察の一斉摘発によりそれらは一掃されましたが、その後、200を超える空き家が残り、現在、行政やNPO、住民そしてアーティスト達が、芸術を生かしたまちの再生に取り組んでいます。

ここの面白さは、まち全体から放たれる独特のエネルギーとカオス感です。
大通りを曲がると突如カラフルな壁画が現れ、その先に連なるモダンなガラス張りの古書店や美術大学。そして路地に入ると木造二階建ての小さな間口のアトリエと真っ赤な庇の空店舗が一種異様な空間を作り上げています。
ユニークなのは街並みだけではありません。毎月第2日曜日に開催される「のきさきアートフェア」では、まちの商店主とアーティストが横並びで商品を販売し、建築家や小説家がボランティアと一緒にまちをガイドする。一体誰が何者なのか、ここでは全く見分けがつかないほどです。
驚くほど無秩序なこのまちは、下町特有のノスタルジックな雰囲気を醸し出しながら、見てはいけないものをのぞき見るような背徳感と異国の路地に迷い込んだような混沌とした感覚を与え、訪れる人をわくわくさせてくれます。

私はこのまちを訪れるたび、作品や彼ら自身から放たれる強いエネルギーにほだされ、また足を運んでしまいます。「まちを再生する」という大義名分はあるものの、結局ここに集まる人たちは、黄金町のことが本当に好きなんだと思います。そして、そこに魅了された人々が、またこのまちを訪れる。時間はかかるけれど、それが結果としてまちの再生につながっていくのだと、彼らを見て、そう強く感じます。
ここではまず、イベントに参加してみるのはいかがでしょう。受け身ではなく積極的に関わることで、このまちの面白さがどんどん増していきます。そして、気づいた頃にはこのまちの魅力にどっぷりとはまっていることでしょう。

(月田尚子)

黄金町のイベント情報

http://www.koganecho.net/

12516876_1690750334539670_1132423418_o

Liar Ben 《SUGAR CANE LADY PROJECT》 2014年

 

イラストレーター イクタケマコト氏 アトリエ

イラストレーター イクタケマコト氏 アトリエ