アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

最新記事 編集部から新しい情報をご紹介。

風信帖 各地の出来事から出版レビュー

TOP >>  風信帖
このページをシェア Twitter facebook
#59

桜坂
― 沖縄県那覇市

多くの観光客が訪れる那覇市の国際通り近くに桜坂と呼ばれている場所があります。
戦後いち早く復興をとげ、狭い通りに多くの飲食店がひしめき合い、週末は足の踏み場も無いと評された繁華街でした。
1952年、その一画に芝居小屋「珊瑚座」が開業やがて珊瑚座は映画館へと姿を変え、桜坂のシンボルとなりました。しかし、時代が進むと人々の足は桜坂から離れ、珊瑚座から姿を変えた映画館も2005年4月に閉館しました。
街中から映画館が消える危機感から、それを復活させるべく奔走したのが、映画監督中江裕司氏です。中江氏は同年7月に新しい施設「桜坂劇場」を開館させます。
劇場には映画のパンフレットだけでなく、DVD、CD、書籍、古本、人気ベーカリーのパンなどを扱うショップやカフェも併設されました。館内では沖縄県内で活動する工芸作家の作品が展示販売されており、企画展もおこなわれます。通りに面したカフェには近所の方から観光客まで色々な人が集まってきます。
さらにこの施設の最大の特徴は「桜坂市民大学」という市民講座が開設されていることです。1クール9回と手軽に参加できる講座が100以上開設されています。
沖縄最後の手書き映画看板職人による「映画看板職人の絵描き塾」、ハリウッドで特殊メイク・造形に携わった講師による特殊メイク講座など、特色のある講座がそろっています。また、学んだ成果を発表する桜坂市民大学祭もおこなわれています。
中江氏は映画を観る目的以外の人にも開かれた「複合文化施設」として桜坂劇場を復活させたのでした。
総務省が平成24年に実施した「創造的人材の定住・交流の促進に向けた事例調査」(1)で事例のひとつとして桜坂劇場が取り上げられました。
事例紹介の最後に「劇場が復活したことにより、周辺地域も賑わいを取り戻しつつある」とあります。
この記事の掲載写真撮影後、往時の賑わいを想像しながら桜坂散策を楽しんできました。

1)総務省「創造的人材の定住・交流の促進に向けた事例調査」 http://www.soumu.go.jp/main_content/000160578.pdf

Web:桜坂劇場
http://sakura-zaka.com/

(儀間真勝)

桜坂劇場全景。

桜坂劇場全景。

桜坂界隈の飲食店。

桜坂界隈の飲食店。