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アネモメトリ -風の手帖-

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#51

大人の修学旅行〜太郎吉蔵デザイン会議〜
― 北海道滝川市

北海道滝川市にある太郎吉蔵は、彫刻家の五十嵐威暢さんの祖父が建てた酒蔵を建築家の中村好文さんが改修設計したアートスペースです。
この太郎吉蔵を拠点に毎年開催される「太郎吉蔵デザイン会議」(通称:タロキチデザイン会議)に今年の夏、念願かなって初参加して来ました。
タロキチデザイン会議では、全国から集まったパネリストが自分のために本音の議論を行い、参加者が耳を傾けます。9回目を迎えた今年のパネリストは、デザイナーの原研哉さん梅原真さん桑和美さん、浄瑠璃「一中節」の十二世宗家、都一中さん、札幌市立大学学長の蓮見孝さん、そして五十嵐威暢さんという錚々たる顔ぶれでした。参加者はパネリストも含めて66名。デザイナー、建築家、コピーライター、フォトグラファー、アートディレクター、教員、行政職員、大学生などなど多種多様な人々が全国から集まり、2泊3日、同じ空気を吸い、同じご飯を食べ、同じものを見て、同じ音を聞き、同じホテルに泊まり、その日感じたことを地元のディープなバーで夜中まで語り合いました。
今年のテーマは「勘どころ」。コンセプトや計画性が重んじられる今、目に見えるもの、目に見えないもの、様々なデザインのかたちに触れて感じて語り合った3日間は、まるでタロキチを中心に大きく透明なドームに包まれているようで夢の中にいるようでした。最終日、終了間際のランチタイムにある人がこんなことを言いました。「1日ぶっ通しでパネルディスカッションの日があってもいいかもね。もっと話を聞きたいな」その言葉に、そこにいたみんなが大きく頷きました。いったい私たちどれだけ議論好きなんだろう、と笑い合いながら五感を刺激され、自分自身と向き合い、どこかしら感性の重なりが感じられる人との新しい出会い。来年はあなたも参加してみませんか?
太郎吉蔵デザイン会議の趣意文はこちらから。まさにその通りのデザイン会議でした。

太郎吉蔵デザイン会議
http://www.designconference.jp/2017/about.html

(姉帯美保子)

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