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アネモメトリ -風の手帖-

風信帖 各地の出来事から出版レビュー

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#18

西条「酒まつり」で遊ぶ
― 広島県東広島市

広島県東広島市で毎年10月上旬に開催される「酒まつり」は、来場者が2日間で25万人を超える大きなイベントです。兵庫の灘、京都の伏見と並ぶ銘醸地と称される西条は、JR山陽本線西条駅から徒歩で7つの酒蔵を巡ることができ、蔵元限定酒の試飲や子供向けのイベントで賑わいます。
私は昨年このお祭りを、課外活動のために広島を訪れた大学の同期生と楽しみました。通信課程ということもあり入学以来一度も会ったことがありませんでした。いつもSNSで話している学友と初めて会う気恥しさもあり、せっかくその日広島で集まるのなら鬼ごっこのように酒まつりの会場で隠れたり追ったりしながら会ってみようと、迷路のように蔵が立ち並ぶ町でSNSを使ってお互いを探すゲームをしました。
東京から来る3名の学友はそれぞれ広島空港から、私はひとりで西条へ向かいました。駅前に降り立つと、まるでお祭りのスタート地点のように「ウコンの力」の売店に人だかりが出来ていて、来場者の意気込みを見せつけられます。全国から集めた約1000銘柄の地酒を飲み比べられる有料ブースを横目に、酒蔵の煙突を目指して歩いていくと、両脇の屋台から牡蠣や鮎を炭火で焼くいい匂いがしてきます。アルコールでゆるくなった表情の人混みをかき分けながら、自分が今いる場所を携帯で撮ってSNSにアップします。間もなくそれぞれの現在地も写真でアップされ、見覚えのある蔵や煙突の文字からみんなの居場所を特定していきます。賀茂鶴、白牡丹、亀齢……そして、ついに4人揃って初対面の「乾杯!」となりました。
ほろ酔いの人で溢れるこの日の西条は、路地裏で腰をかけて気持ちよく眠りにつくひと、シートを敷いて持参のつまみを食べながら日本酒を飲むひと、カープの試合結果を貼り出して談笑するひとなど、微笑ましい時間が流れています。大きなお祭りは自分なりにアレンジしても楽しいですよ。

(手塚香恵)
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