アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#33
2015.09

状況をデザインし、好循環を生みだす

後編 有田焼とまちの400年をひらく2016/ project

今号は引き続き、デザイナーの柳原照弘さんを取り上げる。
世界各地で、関わるひとや企業の「本当に必要とされていること、求められていること」をとことん考え、その状況をデザインするのが柳原さんの仕事だ。具体的にはプロダクトや空間をつくるのだが、つくることそれ自体が目的ではなく、必要とされる「状況や仕組み」を実現するために、プロダクトを開発したり空間をつくっていくというほうが近いだろう。柳原さんにとって、何かをつくるということは、そのものの文脈を見いだし、長いスパンであり続けるようにすることだと思う。

柳原さんは、佐賀県有田の百田陶園・百田憲由さんの依頼で、有田焼の新ブランド「1616/ arita japan」を立ちあげた。ひとつの会社の再生を賭けたブランド開発は大成功を収め、国内外で大きな評価を受けたのだった。
その成功に、佐賀県が目をとめた。2016年の有田焼誕生400年という大きな節目を前に、1616/ arita japan をさらに展開したプロジェクトをという話が持ち上がったのである。それが「2016/ project」だ。柳原さんのディレクションのもと、400年の歴史をふまえ、新たな400年に向かって、有田焼と有田のまちを再生し、400年前とはまた違ったかたちで「世界の有田」としての一歩を踏み出そうとしている。
日本を代表する地場産業を再生するという大きな試みに、柳原さんはどのようなビジョンを持って取り組んでいるのだろうか。百田陶園の百田さんがいうように、「ぶれない軸」を持ち「新しいことをゼロからつくりあげる」ことをしてきた柳原さんの仕事は、これからのものづくりとその発信においてひとつのモデルとなるかもしれない。

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共同運営する工場「十社」にて。左から宝泉窯の原田元さん、藤巻製陶の藤本浩輔さん、柳原照弘さん、幸右エ門の溝上哲也さん、川副青山の川副史郎さん

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2016/ project の拠点、NEW ADDRESS

柳原照弘(やなぎはら・てるひろ)
1976年香川県生まれ。デザイナー。2002年自身のスタジオを設立。デザインする状況をデザインするという考えのもと、国やジャンルの境界を超えたプロジェクトを手がける。KARIMOKU NEW STANDARDや1616/ arita japan 等の国内ブランドの設立に携わるほか、国外の企業にもデザインを提供している。作品所蔵:フランス国立造形センター(CNAP)等。現在は佐賀県有田焼創業400年事業「2016/ project」ディレクター、DESIGNEASTディレクター。共著に「リアルアノニマスデザイン」(学芸出版)、「ゼロ年代11人のデザイン作法」(六曜社)など。
http://teruhiroyanagihara.jp/
長く大阪を拠点にしていたが、ここ数年は京都の北山で別荘のような一軒家にアトリエを構える。ちなみに北山のアトリエを一部改装し、2015年7月、新たにギャラリー「vitrine kyoto」もオープンした。

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