アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#31
2016.07

「一点もの的手づくり」の今

後編 RYOTA MURAKAMI オカンとファッション
1)オカンが絵を描き、息子がデザインする

2015年5月下旬、ラフォーレ原宿1階の「WALL harajuku」でRYOTA MURAKAMIのポップアップショップが期間限定でオープンした。正面玄関入ってすぐの、一番目につく場所で、あざやかな水色やピンクが目に飛び込んでくる。テーマは「梅雨」。雨の季節を前にして、雨粒や金魚の大胆なワッペンがあったり、毛糸で編んださくらんぼがTシャツなどの肩口についていたりと、遊び心全開の、目に楽しいコレクションだ。
そのスペースのなかで、村上千明さんが真剣な表情で絵筆を動かしている。この日、兵庫県加古川市の自宅から到着したばかりだった。「観に来ただけやったのに。いや、いきなりクロールの絵描いて、ていうから」とつぶやきながら、すごいスピードで白地のTシャツにクロールする男子を描いていく。千明さんが絵を描くようすを、息子の亮太さんが笑みを浮かべて隣で見ている。亮太さんが言う。

——絵を描いてもらうときって、こんな感じです。特に何も言わなくて、自由に描いてもらうというか。コンセプトは伝えますけどね。

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ラフォーレ原宿1階「WALL harajuku」のポップアップショップ。千明さんはパフォーマンスのように絵を描いた

ラフォーレ原宿1階「WALL harajuku」のポップアップショップ。千明さんはパフォーマンスのように絵を描いた

RYOTA MURAKAMIは、お母さんの千明さんが描いた絵をもとに、亮太さんがデザインするブランドだ。ブランドタグは「RYOTA MURAKAMI CHIAKI &RYOTA」となっている。2014年10月のデビューコレクションでは、千明さんもモデルと並んでレッドカーペットを歩き、記念写真にも収まった。
コレクションは「東京ニューエイジ」と題して、亮太さんを始め若手デザイナー数人をwrittenafterwardsの山縣良和さんと、MIKIO SAKABEの坂部三樹郎さんがプロデュースするというものだ。山縣さんと坂部さんのふたりは、ファッションデザインの教室「ここのがっこう」の主宰をしていて、フィーチャーされたデザイナーたちはそこに通う学生でもある。亮太さんもwrittenafterwardsのアシスタントを務めながら、「ここのがっこう」でファッションデザインについて、あれこれ考える日々を送っていた。そう、考えに考えたあげく、お母さんに絵を描いてもらうというところに辿り着いたのである。