アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#14
2014.02

ひらかれた、豊かな<場>をつくるために

前編 京都・Social Kitchen

2. 「喫茶はなれ」からの始まり

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(上から) 山崎伸吾さん、須川咲子さん、
高橋由布子さん

S・Kを運営する「hanare」は山崎伸吾さん、須川咲子さん、高橋由布子さんの3人からなる(*1)。現在、山崎さんは主にライブや演劇などの企画制作、須川さんは主に翻訳、高橋さんは主に紙媒体やwebなどのデザインと、それぞれが仕事を持ちながら、S・Kに関わっている。須川さんと高橋さんは高校時代からの親しい友人で、山崎さんも十数年来のふたりの友人という関係だ。
S・Kのもとにあるのは、須川さんと高橋さん、それに石田さん (*2) の3人が始めた週1回の活動「喫茶はなれ」だ。ちなみに、グループ名は「hanare」なのでちょっとややこしいが、この「喫茶はなれ」があって、自然に使うようになった名前である。
S・Kを始める4年ほど前。学生など若い世代が多く住む京都市左京区で、須川さんは一軒家の“離れ”を借りて住んでいた。細長い、ちょっと変わったつくりの部屋が面白く、ここを開放して喫茶のようなことをやりたい、と思いたつ。営業目的ではなく、知人友人と食べたり飲んだりしながら、ざっくばらんに話をしたい、という気持ちからだった。料理上手の石田さん、気心知れた高橋さんを誘って、ほどなく「喫茶はなれ」は始まった。2006年4月のことだった。
喫茶といっても店舗はないし、オープンするのは毎週月曜、20時から23時の3時間に限定。メニューはその日の定食一種類のみ。どこかにオープンの情報を掲載することもなく、3人の友だちや、友だちの友だちが来る場所であった。そもそも“離れ”だから「喫茶はなれ」と名づけたところも、肩に力が入っていなくて、いい感じだ。
とはいえ、内輪だけで集うことを考えていたわけではない。知人友人を中心に、食べることを介して、さまざまな話ができる場をつくろうとしたのだった。
高橋さんは当時のことをS・Kのブログにこう記している。

 喫茶はなれの席は8~10人ほど、(中略)日に5、6人も来てくれれば大万歳でした。少ない人数で私たちも交えゆったり食事と会話を楽しむ。狭い空間なので知らない人同士が居合わせても、自然と会話が盛り上がり、新たな出会いが生まれていく。そんな空間にワクワクしたのを覚えています。くだらない話から日本の政治の話、国際問題、アート、ゴシップ、食べ物について、来る人やその時の自分たちの興味によって、話す内容も実に様々でした。

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(左)喫茶はなれ。まさに、友だちの家に遊びに行くような感覚でひとびとが集った
(右)オープン日のメニュー、豚の角煮定食

 スタートして1年ほど経ったころから、メンバーが直接知らないひとも「はなれ」にやってくるようになった。“友だちの友だちの友だち”的に、「はなれ」は“面白いひとが集まる隠れ家のような場所”として、S・Kのもとにあるのは、須川さんと高橋さん、それに石田さんの3人が始めた週1回の活動「喫茶はなれ」だ。
多くのひとが集う、刺激的な場で、楽しい企みが生まれてくるのはごく自然なことだ。いつしか、「仲間」のようなひとたちも出てきて、ワークショップやレクチャーなどのアイデアも生まれたのである。

(*1) hanareは現在NPO法人となっているため、正式には他の方の名前も入っているが、S・Kの運営はこの3人が行っている。
(*2) 石田さんは現在hanautaマルシェやパーティーのケータリングを手がけており、hanareのメンバーではない。