アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#7
2013.07

市と、ひとと、まちと。

後編 各地に広がる、市の新しいありよう

4. 高知発、全国初のオーガニックマーケット3
「支え」を支える

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もちもちして美味しい釜焼きピザ

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黒糖とショウガなど、取り合わせのセンスがいい(drie)

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ご主人がパンやピザを焼き、奥様がディスプレイ(らくだ屋)

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県外から長く出店を続ける(Vegetable na style Ristro)

日曜市とともに、高知オーガニックマーケットもまた、高知や近県の人びとにとって大事な場所なのだと思う。日曜市のように客が多いわけではないし、市に出店するだけ生計を立てるのはむずかしい。ただ、この市は売る側、買う側のどちらにとっても、ある「支え」となっているのではないだろうか。

例えば、大阪から高知に夫婦と子どもで移り住み、天然酵母のパンや焼き菓子を売る「らくだ屋」さん。「子どもをのびのび遊ばせてやりたいと思って」という言葉通り、山で畑をやりながら出店を続けている。畑で育てている農作物はまだ採れないが、この市で仕入れた食材をできるだけ使ってパンやお菓子を作り、ドラム缶を改造した(!)簡易な窯で、ピザを焼いて出す。自分の思い描くライフスタイルを実現するために、生活と一体で仕事をしている。

客として来ていて、出店する側に回ったひとたちもそうだ。ベーグルや焼き菓子などを売る「drie」さん、愛媛から出店を続ける「Vegetable na style Ristro」さん。ふたりともお菓子作りや料理を生業としていたわけではないのに、いつしか自分のできる範囲で美味しいものを作って、売るようになった。「drie」さんは好きなレシピを参考に、自分なりのアレンジを加える。「Ristro」さんはこのペースで作り続けて、いいと思ってくれるひとに食べてもらえたらうれしいと言う。

客はというと、常連も多いが、遠方からもここを目指してやってくる。一週間分の食材を仕入れたり、ピクニックがてらやってきて、ランチやお茶を楽しんだり……。あって当たりまえ、なくなってもらっては困る。そんな存在になっているのだと思う。

事務局の山田さんは、最近仕事を辞めて、市の運営に専念することにした。「金銭的には厳しくなりましたけれど、精神的にとても気持ちいいです」。
山田さんの書く「高知オーガニックマーケット」のブログからは、この市に対する愛着がひしひしと伝わってくる。出店者を一軒一軒、ていねいに紹介し、食べ物の旬を伝え、出店者に教えてもらった食べ方で実際に料理を作ってみる‥‥‥。とても美味しそうな、いきいきとした写真とともに。そうしてブログで発信する一方、有志で小冊子「どどどどどどど土曜市だより」を半年に一回のペースで作っている。原稿を書くのはすべて出店者や常連客など「応援団」の方たち。事務局を始め、関わるひとがゆるやかに助け合う、みんなで作っていくマーケットなのだと実感する。

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名物の出席ボード。県内外からひとが集まる

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「どどどどどどど土曜日市だより」はスタッフ手づくりの冊子。半年に1回発行される