アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#4
2013.04

新潟 「エフスタイル」がつむぐ、あたたかな「循環」

前編 エフスタイルのものづくり

7.「ものの魅力が伝わる場」をつくる

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棚にずらりと並んだ行李の中には商品が。小売店ごとに分かれており、受注した商品がすべて揃うと出荷される


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マットの検品作業は五十嵐さんが担当。不要な糸をカットし、猫のかたちを整えていく


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亀田縞の縞見本帖(上)とハンカチなどの商品。商品のアイデアを練る時は、縞見本帖を見ながらイメージを膨らませる

そうして作り手と長く付き合っていると、当然ぶつかることもある。あらの目立つ商品があがってきたり、サンプルがオーダー通りにあがってこなかったり。そんな時、2人は常に「全体を潤滑にするために今、何が必要か」という立脚点に立ち戻る。

「うまく回っていない時は、まず自分たちに責任があると考えます。エフスタイルという野球チームがあって、作り手さんも、私たち自身も、そのチームに所属している選手という感覚なんです。どのポジションを守っているのかはわかりませんけど(笑)。だから、上下関係は出さない。みんなが腑に落ちる“真ん中”を探す。関わっている人全員が気持ちよく自分のポジションに集中できる“場”をつくる。そんなシステムづくりこそが、エフスタイルの仕事なのかもしれません」(星野)

自分たちが感じたものの魅力、そこに含まれた豊かなもの。それが、そのまま伝わる場づくり。商品開発だけでなく、検品、タグ付け、出荷までを自分たちで行うのも、ものが消費者の手に届く一連の流れを“場”ととらえているからだ。そこに最も重きを置く2人は、作り手との関係を密にしながらも、決して彼らを“独占”しようとはしない。

「私たちと仕事することで、仕事が増えたり、自分たちでも企画してみようと思う“きざし”が生まれたらいいなと思います。私たちは、今やっていることを継続できれば、それでいい。もっと言えば、“循環していくこと”が理想なんです」(星野)

その循環において、ものの魅力を伝える最終地点である、小売店との関係もじっくりと育む。出荷の頻度に違いはあるが、現在の取引先は、ざっと80軒ほど。商品は基本的に受注生産だ。作り手と同じく、取引が始まる前に時間をかけて話し合いを重ね、長く付き合っていけそうな信頼関係を構築してから、初めて受注・発注のやりとりが始まる。

「お客さんに商品の生産背景などを伝えてくれる“売り手さん”は、とても大事な存在です。お店の方にも、誠実に自分たちがいいと思えるものを伝えてほしいし、売ってほしい。実際、すばらしい接客をされるお店があり、私たちも勉強になることばかりです。お客さんに手渡される瞬間にも、商品がつくられているんだ、と感じます」(星野)

2人は2、3年に一度、取引先の小売店で新作の展示会を行い、自ら店頭に立って、手入れの仕方や使い方、その商品がつくられている現場の生産背景などを伝えている。展示会を行う時には、作り手さんにもなるべく声を掛ける。自分たちのつくった品物がどんな場所で売られ、どんな人の手に渡っていくのかを見てもらえたら、と願っている。

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余計なコストがかからないよう、商品のタグ作りもすべて自分たちの手で行う。
時には友人たちも応援に駆けつける

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「 F/style 展」(奈良・秋篠の森 月草にて)
(写真提供:エフスタイル)