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アネモメトリ -風の手帖-

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2012.12

「本」でつながる、広がる ひととまち

前編 東北の場合、仙台
9)静かに、マイペースで
「火星の庭」に続くブックカフェ

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静かに、マイペースで本と関わっているのは、「書本&cafe magellan」店主の高熊洋平さんだ。古書店をやりたいと図書館の司書を辞めてから、「火星の庭」で1年間ほど働かせてもらった。「マゼラン」を始めたのは6年ほど前。12年前に「火星の庭」がオープンして以来、古書と喫茶の店としては仙台では2軒目となった。文化としてのブックカフェが根づくには、時間が必要だったということかもしれない。

「マゼラン」の特徴は仙台ゆかりのアートを展示しているところだろう。壁面を利用して、おもに地元作家の小品展を開いている。「ふだん縁のない方にも身近に、何気なく目に留めていただける環境がつくれたら」と、展示作家の画集や写真集も販売している。肩ひじ張らず、地元に向けて、アートから地元を取り上げる店なのだ。とはいえ、本のジャンルは美術に限らず、思想を始め絵本や暮らし、エッセイと幅広い。

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(左)地元の画家 樋口佳絵の画集『耳の器』(右)地元の音楽家と建築家によるリトルプレス『musamusa』

B!B!Sを続けるうちに、本に興味を持つひとが増え、裾野が広がったと感じている。「そもそも大きなお金が動いたりするイベントではないんです。手づくり感覚で思い思いに楽しめる気安さが多くの方に受け容れられているのではないでしょうか。本の間口は確かに広がっています。日々の接客で実感しています」。

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